VRSJ2025オーガナイズドセッション
「遠隔医療・福祉をめざしたテレイグジスタンスの最新動向」
開催日:
2024年9月17日(水) 16:00 〜 17:20
開催場所:
第30回バーチャルリアリティ学会大会内,オーガナイズドセッション
立命館大学 大阪いばらきキャンパス(OIC) 会場C
講演概要:
COVID-19の世界的な感染を経て遠隔から利用可能な医療/福祉の要請が高まっている.本OSでは,テレイグジスタンスやVR,ロボット機器を用いたリハビリや診察の研究で著名な先生方を日英からお招きし,ご講演を頂戴する.また,パネルを開催する.
講演:
講演1:◯加藤 史洋(東京電機大学/早稲田大学)
「遠隔診療テレイグジスタンスと触診への展開」
講演2:スノウ ピーター(ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL))
「Virtual Reality & Haptic Robotics for Upper Limb Rehabilitation」
講演3:蔵田 武志(産業技術総合研究所)
「遠隔リハビリとXR技術:人間社会拡張研究部門での取り組み」
講演4:葛岡 英明(東京大学)
「継続意欲を高めるためのバーチャルリハビリ環境」
パネルディスカッション
討論ファシリテータ:
加藤 史洋(東京電機大学/早稲田大学)
Yem Vibol(筑波大学/東京大学)
主催:
テレイグジスタンス研究委員会
詳細:
OS概要:
本OSでは遠隔診療・福祉においてご活躍の先生方をお呼びして各々の視点からのご講演を頂戴しパネルディスカッションを実施した。UCL Snow先生からは疼痛緩和のための上肢リハビリ手法として、VR空間でのオブジェクト操作に触覚フィードバックが伴う場合に、視覚提示だけの場合と比べて、疼痛緩和効果が高い結果が得られる成果の紹介があった。産総研人間社会拡張研究部門の蔵田先生からは、XRの国際規格策定に向けた議論、リハビリにおける機能回復を理学療法士が実施する際の技術側からの貢献として動機づけが効果的で重要である指摘がなされた、NASA-TLXによる検証の結果、メタバースシステム利用のほうがオンラインビデオ配信によるリハビリよりも、良い効果が得られている成果など紹介があった。東京大学の葛岡先生からは五十肩のリハビリにおいて、肩へのハンガー反射による触覚フィードバックにより療法士からの処置が伝えられる手法について紹介がなされ、リハビリにおいて患者自身が身体を動かしていると感じる自己効用感を高めるために、実際の動きよりも拡大した動きをVR空間中で提示する手法の効果の紹介などがあった。座長の加藤からは、遠隔問診テレイグジスタンス手法を紹介し、6自由度の頭部ロボット越しに患者のバイタルを触診しながら患者映像を見るMR問診テレイグジスタンスを利用する場合に、ビデオ診療とくらべて、臨場感や患者の存在感、診察への緊張感が高まり、診察しているリアリティが高まる結果を示した。また、触診が特に重要視される皮膚科での触診柔らかさ・テクスチャの皮膚科医側の見解の共通化指標構築の取り組みや、AI利用による触診判別手法の提案、触診AIの精度向上に必要な力センサのサンプリング周波数の検証、視診・触診のための力・画像取得の併用センサ、皮膚科医師の触察動作を分析し動きを再現したロボットフィンガーについて紹介した。パネルでは、医療福祉テレイグジスタンスの未来やAIとの共栄について議論を交わした。会場からは「どのようにすれば医療・福祉関係者との共同研究を進める契機とできるか」と質問があり、パネリストらからは「医療福祉関係者が受動的に技術者と関わる状況だと厳しいが、主体的に関わる動機がある場合や、工学側の研究者が時間をかけて医療福祉関係者と信頼関係を構築していくことが重要である」と回答がなされた。